ピアノと言語習得、どっちが難しい??
『先生、うちの子はもうピアノを習えますか?』
2、3歳の子を持つ親に、ピアノの先生はこの質問をよくされます。
そして、この質問に対する答えを出さなければなりません。
よく聞く話が、『6歳になるまで待ってください。小学校に上がってからでも遅くはありませんよ。』というもの。
これは、その時になったら自分の方に備えができているというのが本音なのでしょう。
多くのピアノの先生は、2、3歳位の幼児を生徒として受け入れるのを考えただけで、恐ろしくてしり込みしてしまうんです(;´∀`)
しかし実を言えば、研究の結果、子どもに音楽の手ほどきをする最良の時期は、人生が始まったばかりの時であることを示す証拠が出ています。
幼児教育の権威者、井深大氏は“幼稚園では遅すぎる”という本の中でこのように述べています。
≪大脳生理学の研究と児童心理学の研究が相まって、知的発達のカギが子供の最初の3年間、つまり、脳細胞の発達する期間の経験にあることが示された。生まれつきの天才も生まれつきの愚か者も存在しない。すべては、この極めて重大な年月における脳細胞の刺激にかかっている。≫
『でもうちの子には、音楽なんて分かるはずがない。』と言う親もいます。
子どもがあまりにも小さいので、そうおっしゃるのだと思います。
でも考えてみてください。
子供はいつから母国語を学び始めますか?6歳から?小学校に上がってから?
子供は生まれたその瞬間から、話し声を耳にするようになり、脳の中では驚くべき事柄が起こり始めています。
細胞分裂が起こり、細胞同士が結合し、回路が形成されていきます。
そして、赤ちゃんの大半は2歳になる前に、母国語で話を始めます。
簡単な2、3のピアノの作品をマスターすることと、外国語を流暢に話せるようになることでは、どちらが難しいでしょうか?後者の方が断然難しいことですよね。
私も学生時代は英語と中国語を勉強し、中国には留学までしていましたが、外国語を習得するのは本当に大変です。わずかな数の単語を発音するだけでなく、文法を学びある程度スラスラと話せるようになるには、相当の時間がかかります。
3歳までにほとんどの子供たちはこれを楽々とマスターします。もちろん語彙には限りがありますが、その言葉は流暢です。
言語をこのようにマスターできるのに、ピアノの場合は、『うちの子には無理。』と決めつけるのはいかがなものでしょう。
親が、『この子はこの程度。』と思っていれば、子ども自身もおのずと、『自分はこの程度。』と思ってしまいます。
『どうせ自分はこの程度しかできないんだ。』と決めてしまえば、絶対にそれ以上の実力はつかないし、結果も出ません。
このように、自分で自分の限界を定めてしまうことを“メンタルブロック”と言います。
メンタルブロックを作ってしまうような子育てや指導は避けたいものですね。
例えば親御さんなら、『自分はバイエルで挫折してピアノは中途半端だった。私の子どもだから、この子もその程度だろう。』と思ったり・・・
指導者ならば、『この生徒は、去年のコンクールで予選落ちしたから、今年も予選落ちか、良くても予選通過までだな。』とか。
勝手に線を引いてはいけない思います。
この“決めつけ・思い込み”がどれだけ子どもの可能性の芽を摘んでいるか、計り知れません。
子どもは大人が引いた線より上に伸びることはできないのです。
幼児の学習能力を過小評価することなく、これからも指導にあたっていきたいと思います。
レーヴ・ジュール音楽院・・・仙台市泉区・北中山のピアノ教室
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